頭痛について
頭痛について
頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます.
二次性頭痛は,原因のわかる頭痛であり,器質的な疾患(知識のある者が適切な検査を行えば診断可能な疾患)で占められます.
二次性頭痛を疑うのは,以下の危険徴候(レッドフラッグサイン)を有している場合であり,該当するものがあれば,速やかに神経内科など当該する科を受診していただく必要があります.
【頭痛患者のレッドフラッグサイン】
1) 突然発症の頭痛
2) 今までに経験したことがない人生最悪の頭痛
3) いつもと様子の異なる頭痛
4) 頻度と程度が増していく頭痛
5) 50歳以降に初発の頭痛
6) 神経脱落症状(言語障害や手足の麻痺など)や視力障害を有する頭痛
7) 癌や免疫不全の病態を有する患者の頭痛
8) 精神症状を伴う患者の頭痛
9) 発熱,項部硬直,髄膜刺激症状を有する頭痛
10) Valsalva手技(息こらえなど)で増悪,体位で変化する頭痛
いつもと同じ性質の頭痛が繰り返しおきている場合,一次性(または機能性)頭痛が疑われます.器質的疾患を除外し確診を得る必要があり,当クリニックとしましては 神経内科や脳神経外科を一度は受診されるようお勧めしています.
一次性頭痛の90%以上は筋緊張頭痛と片頭痛で占めており,3分の2は筋緊張性頭痛であると言われております.どの教科書にも“群発頭痛”が記されていますが珍しい疾患であるようです.
【片頭痛について】
以下の5つの特徴『POUND』のうち4つあれば片頭痛と診断可能です.
P: Pulsatile 拍動性
O: One-Day 持続時間 4~72時間 ほとんどが1日でおさまる
U: Unilateral 片側
N: Nausea 吐き気
D: Disabling 頭痛がひどく活動できない
片頭痛の30%には,閃輝暗点(せんきあんてん)といって,片側の視野だけ数分~1時間くらいキラキラ星が出現するように見づらくなる『前駆症状』が出現します.この前兆が認められれば片頭痛は確定的とされております.
発症年齢は多くが10~20代であり,90%は40歳までに発症します.そのため,40歳以降初発の頭痛では片頭痛以外のものを考えた方が無難です.
治療につきましては、NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)または片頭痛薬のトリプタン系薬を,頭痛の気配を感じたらすぐに服用いたします.
頭痛が月に3回以上もしくは8日間以上あったり,薬剤依存性の頭痛になっている場合は,片頭痛予防薬を検討します.この薬では完全に発作がなくせるわけでなく,頭痛の程度や期間を半減することが目標となるほどの効果しか見込めません.
【筋緊張性頭痛について】
以下のうち2項目を満たす場合に診断されます.
・頭頸部の両側性の頭痛
・非拍動性(圧迫感や締め付け感)
・程度は軽度~中等度 日常生活を妨げない
・歩行や階段の昇降のような日常的動作で悪化しない.
持続時間は30分~7日間であり, 片頭痛よりも長くなることが多いとされています.
この頭痛では嘔気・嘔吐は生じません.
NSAIDなどの薬物療法以外には,枕を低くする,姿勢を良くする、入浴するなどの予防策が推奨されております.