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顔面神経麻痺(Bell麻痺)

顔面神経麻痺 (Bell麻痺)について

【疫学】

 顔面神経麻痺で最も多いのは,特発性(原因不明)の末梢神経障害であるBell麻痺で、一側顔面神経麻痺の60~75%を占めます.次に頻度が多いのは Ramsey  Hunt症候群で,約20%を占めます.これは,耳周囲に生じた帯状疱疹による炎症が顔面神経に波及し 麻痺をきたすもので,難聴,耳鳴,回転性のめまいを伴うことがあります.

 Bell麻痺の年間発症率は,人口10万人あたり15~30人で,性差は無く,全年齢で発症しうるが,ピークは40歳代である とのことです.

【原因】

 Bell麻痺は原因不明いわれてきましたが、最近の研究では,単純ヘルペスウイルスtype 1 (HSV-1)  が関与していることが明らかになっております.

 Ramsey Hunt症候群は,水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV) の再活性化により発症します.

【症状】

 顔面神経の経路の障害が 脳幹の橋にある顔面神経核より中枢にあるか 末梢にあるかにより,中枢性と末梢性に分類されます.末梢性麻痺の場合,麻痺側の額には皺寄せができないことが特徴です.

 Bell麻痺であれば,急に発症し,麻痺のピークが2日以内であることがほとんどです.発症1~2日前に,耳介部から乳様突起部にかけての痛みやしびれを感じることもあります.

 患側の鼻唇溝は消失し,口角は下垂します.そのため,食物(特に液体)が口から漏れるという訴えが多く聞かれます.

 耳介後部の疼痛,患側舌の味覚障害,涙液の分泌障害,聴覚過敏などを併発することがあり,こうした症状により顔面神経経路の障害部位を推察します.

【検査】

・ 単純ヘルペス・水痘・帯状疱疹などの抗体検査

・ 血液検査(血算,血糖を含む生化学検査) ← 治療でステロイドを使用するため

・ 頭部CT・MRI検査  脳幹の髄内病変をきたす疾患を鑑別するため

・ 顔面神経誘発電位測定  予後を予測するのに有効とされています

【治療】

 早期から神経の炎症や浮腫を取り除き,神経障害を最小限に抑え,可及的速やかに神経の再生を促す必要があります.そのため,早期から経口ステロイド薬(副腎皮質ホルモン プレドニゾロン)を開始することが推奨されています.プレドニゾロンの投与は発症後3日以内に(遅くとも10日以内に)開始することが望ましいとされています.

 重症例や,ヘルペスウイルスの関与が強く示唆される中等度以上のBell麻痺には,プレドニゾロンと併用して,抗ウイルス薬の投与が推奨されています.

 また,メコバラミン(ビタミンB12)をプレドニゾロンと併用すると,Bell麻痺の回復が早まるとされております.

 重症度により,ステロイドの投与量や抗ウイルス薬の併用を検討することになります.重症度の評価には,40点法(柳原法)を用います.その方法では,以下の10項目を,ほぼ正常4点,部分麻痺2点,完全麻痺0点で評価し,合計点を求めます.20点以上を軽症 (伝導ブロック),18~12点を中等症(部分脱神経),10点以下を重症(完全脱神経)と評価します.

 『10項目』 

安静時非対象 ひたいの皺寄せ 軽い閉眼 強い閉眼 片目つぶり 鼻翼を動かす 頬をふくらます イーと歯を見せる 口笛 口をへの字に曲げる

【予後】

 Bell麻痺は治療無し(自然経過)でも 70%は完全に回復し,80%以上は1~2ヶ月以内に完全回復すると言われています.不全麻痺や味覚障害がない例や,早期に回復し始めるものは予後が良いとのことです.

 重度麻痺,高齢,誘発筋電図での複合筋活動電位が健側の10%以下,発症3~4週を経ても回復が見られない場合は,予後不良であるようです.

 Ramsay Hunt症候群は,自然治癒するのは約40%でありますが,発症3日以内にステロイド薬と抗ウイルス薬の併用療法を行うと治癒率は75%にあがるとされています.

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